・公共工事に伴う市民参加について実施検討し、他地域にも応用が可能なモデルケースとして手法をまとめ、発信する
・今年度は、遊歩空間の一部の供用が開始され、“供用地の市民参加による管理運営の手法の開発”、“未共用地の方向性についての市民参加の機会の創出”を行い、市民側からの発信によるコミュニティの醸成を加速させることを重点とする
・地域住民とクリエイターやNPO 等の協働によるまちづくりをさらに進める
・供用地の市民参加による管理運営の手法の開発を次の手順で行う。
①市民活動の基盤となる団体を設立し、行政が連携しやすい環境を整える。
②散水や清掃の日常管理活動の実施。アドプトリバーへの登録。
③一時専有によるイベントの開催
④大阪市西区との連携・協働
⑤河川敷地占用許可準則の特例措置に基づく社会実験等の実施
・地域で活動をしている人、緑に関する活動をしている人、クリエイター等へのヒアリングを中心とした地域人材の発掘を継続して取組み
・未共用地の方向性についての市民参加の機会の創出について、現地説明会およびヒアリングを実施する
・より多くの住民等の参加の意識の醸成のための地域への活動の説明や情報発信を行う
市民の活動の基盤となる組織として、「木津川遊歩空間を楽しむ会(仮称)」を設立した。維持管理や助成金の獲得、活性化事業の実施を継続して行っていくために、また西区との連携を深めていくために、地域団体が中心となった運営形態で、活性化事業の推進や助成金獲得を行える事務局をもった組織を整える必要があった。前年度末より調整を行った結果、2016年4月1日付で組織を設立、活動を開始した。
規約で定めるところの運営委員会には、広教連合振興町会、特定非営利活動法人トイボックス、大阪府立江之子島文化芸術創造センターが参加し、初代会長として、広教連合振興町会会長の堀内正敏氏が就任した。設立時の活動委員会のメンバー(市民の参加者)は15名であった。
これにより、2017年度の本事業は、木津川遊歩空間を楽しむ会を前面に出し、受託事業者が市民組織の立上げや活動手法の開発、それらによるコミュニティの醸成を支援する手法で進めることになった。
対象地内で木津川遊歩空間を楽しむ会が花の植替えや植栽管理の活動を行うことに、行政的な意味での正当性を持たせるために、アドプトリバーの認定を受けた。
木津川遊歩空間の活性化と、楽しむ会の活動実績づくりのために、「あおぞらヨガ」イベントを企画し、実施した。
日時:平成28年7月2日(土)8:00〜9:00
場所:木津川遊歩空間 広場及び遊歩道
西区で活動している塚本真理氏を講師に、青空の下ヨガレッスンを開催した。当初は広場部分での開催を予定していたが、日差しが強いため途中から遊歩道部分の日陰に移動した。
近隣に住む主婦の方を中心に声かけをした結果、定員を超えて大人24名子ども6名の参加があった。うち2名はイベント中にたまたま犬の散歩などで通りがかった方で、飛入りで参加してくれた。
現地、朝日プラザ、広教会館他広教連合振興町会内掲示板に掲示。
広場部分の共用に向けて、工事やその後の利活用の参考にするために、ワークショップを実施し、ヒアリングを行った。ワークショップは2日間実施し、27名の参加があった。
日程:
実施日 | 内容 |
---|---|
8月24日(水) | 通行人、利用者を対象に個別対応方式のワークショップを実施 午前の部 8時30分〜11時30 夕方の部17時00分〜19時00分 |
8月28日(日) | 地域団体、地域住民を対象に、グループでのワークショップを実施 第一回9時00分〜10時00分 第二回10時30分〜11時30分 |
組織基盤が整ったことにより、正式な市民活動としてのスタートをきることができた。西区からも、地元住民が中心となって活動している団体として認知され、地元住民対行政という対等な立場で話し合いをすすめることができるようになった。
現状、事務局が中心となる活動委員(個人メンバー)と話合い、会長に図る形で会の事業を進めている。運営委員会と活動委員会の実務上の役割分担を明確に切りわけ、市民一人ひとりの参加がスムーズな活動の実施につながるような仕組みを構築していくこと、活動委員を増やしていくことが課題といえる。
西区のアドプトリバーへの参加はならなかったが、大阪府のアドプトリバー、大阪市の清掃ボランティア制度のふたつの制度を利用し、木津川遊歩空間を楽しむ会が植栽の植替えや手入れ活動を行うことの公益性を担保した。地域の自治会が構成員になっていることに加え、地域の公益的活動をしている団体であるという位置づけを更に強化することができた。
また、実際の空間の管理活動を数人のグループで行っていることで、活動している団体があるという近隣住民への活動のアピールなっている。
イベント参加者・通行人・近隣住民ともに満足度の高いイベントとなった。初回のイベントということで、大きな音が出ず、木津川遊歩空間の自然環境を活かし光や風を楽しめるヨガを選択したが、気軽に参加できる雰囲気を作れたことはとても良かった。
市民が木津川遊歩空間の一定スペースを確保し、活動に使用したいと思う場合、地元の団体であれば、条件・手続きともに大きな阻害要因はなく、一時利用の手続きを経て活性化に活用することができる。ただし、地元住民を主たる構成員としない公益的な団体、例えば子供の環境教育をテーマにしたNPOが活動行おうとした場合などは、現在の条件では一時使用の申請ができないことになる。活性化を考える上では、市民のより幅の広い活動がこの場所で実施されることが必須であり、手続きの改善を検討していく必要がある。
開発の途中段階でその場所の魅力を地域住民に知ってもらい協働のプラットフォームを構築するのは今回の事業の中心課題であるが、このワークショップでは、アプローチ手法のひとつを開発することができた。
工事が一定程度進んだ段階で、その場所の未来の姿やそこで活動する自分たちの姿をイメージするワークショップを開催することで、事業への好感度や理解度を向上させることができた。
また、ヒアリングにより、未共用部の工事の早期開始やデザインの方向性についての住民の意見を聴取することができ、整備推進に役立った。
イベントや管理活動を繰り返し行なってきたことで、市民による活動についても好意的に受止められている。一方、積極的な活動への参加者がまだ少なく、木津川遊歩空間を楽しむ会の活動の活発化、情報発信の活性化が課題である。事務局機能の強化や地域へのアピールの強化のために、活動の拠点を対象地周辺に設立したいと考える。
西区との連携は順調に発展してきているが、今後さらに西区との協働段階へと進めるため、地域住民が軸となった具体的な企画の提案、イベントの積重ねが必要である。