大阪府では、今後の治水対策の進め方について、①河川氾濫・浸水の危険性に対する府民の理解を促進すること、②「逃げる」「凌ぐ」施策※を強化し、「防ぐ」施策※を着実に実施すること等により、人命を守ることを最優先することを基本的な理念としています。このプロジェクトでは、施策のうち「逃げる」施策をより効果的に推進することを目的に取り組んでいます。
※「逃げる」施策:地域での地域版ハザードマップの作成等による“自助”の意識向上
「凌ぐ」施策:河川から溢れても被害を最小限にする
「防ぐ」施策:効果的・効率的な治水施設の建設と維持管理
これまでの防災に関する取組では、自治会で防災ワークショップを開催しても参加者(特に、若い世代)が少ない、行政・自治会等が各自で防災マップをつくり相互に連携がとれていないといった課題がありました。これらの解決策として、“学校”を中心としたネットワーク(プラットフォーム)構築に取り組みました。学校を核とすることで、子どもたちはもちろん、その親世代である子育て世代の取り込みができ、これまで参加の少なかった層への浸透が図れました。多くの人に取組を知ってもらうため、小学校のPTAが主催するお祭りで一連の成果発表を行いました。
・まちあるきの事前準備として、子どもたちに地域の危険ポイントを調査する宿題を提出し、その結果を元にまちあるきルートを設定しました。まちあるきのシナリオ作成段階から実施当日まで、劇団・役者にも関わってもらい、子どもたちをひきつけるためのストーリーを作成し、演劇仕立てのまちあるきを実施しました。
・まちあるき当日は、自治会・PTA・学校等の方にも役割を担って同行してもらうなど、子どもたち・地域住民同士の顔の見える関係作りを進め、いざというときに機能する地域コミュニティの構築を推進しました。
・後日、子どもたちが作成した防災マップに、地域の方が考える防災・防犯情報等を追加し、多世代に分かりやすく活用できるマップとしてデザイン処理を施しました(小学校が印刷・配付を実施)。今後も、子どもたちや地域の方が防災・防犯情報等を更新していくことで、防災意識の向上に役立ちます。
今回の取組を他の地域でも展開できるように職員用のマニュアル(手引)を作成しました。作成にあたっては、地域のニーズに応じた支援ができるようにするため、「自治会が中心となるバージョン」・「学校との連携が図れるバージョン」のバージョンごとに、実際にどのように進めていけばよいかを段階的に分かりやすく記載しました。今後、府域全域で市町村・自治会の取組を支援する際に活用されるよう取り組んでいきます。